オッサンとひとつ屋根の下、全裸でアイスを食べた理由。

 

 

意外と早く無職が終わったけれど、
せっかくの暇な時間だからと、ニュージーランドの首都、ウェリントンへ。

 

土曜日なのにアラームを”平日のみ”にしていて寝過ごし飛行機を逃し、

航空券を買い直す覚悟で空港行ったら50$のペナルティで振り替えてくれてラッキー♪
…と思えば振り替えの飛行機が3時間遅れる。と自己責任ながら散々です。

 

ただし、それでも来てよかった。

とってもキレイでフレンドリーな街がお出迎えしてくれました。

 

そして、私はこの街でオッサンと2人、一つ屋根の下
お互い全裸でベリーアイスを頬張ることになりました。

 

別に変な意味ではなく、
ヌーディストというライフスタイルのメリットを説き伏せられたので
郷に入っては郷に従った。というお話です。

 

 

今回の宿泊先は、カウチサーフィンで見つけました。

 

カウチサーフィンはタダ宿♪と使う人も多いかもですが

そんなに美味い話もないので、ホストはたとえ有料でも慎重に選びます。

 

すると、130件以上のポジティブレビューのついた、
公式承認済みの大ベテランのオッサンを発見。
(これってめっちゃすごいことです。)

 

カウチサーフィンの公式承認を取るのは有料&レビューをした側にも自分のレビュー履歴がフル公開されるため
評価への信頼度が高く、どんな人かは大体ここで解る。

ここまで高評価な人も珍しい。”彼は最高だ”と世界中のバックパッカーからのアツい支持を受けています。

 

ただし、プロフィールがあまりにもシュールすぎる。

 

”こんにちは。私の家をタダの無料宿だと思っている方はお断りします。

ここの文章を全て読み、詳細を理解していただいた方のみ歓迎しております。



私はヌーディストです。



家では全裸です。これが全員の生活スタイルに合わないことは十分承知しています。

それでも私は全裸です。そんな私の生活スタイルを全く問題ないという人のみ連絡をください。全く問題ないと明記してください。

また、私のみ全裸で皆さんが服を着ている奇妙な光景はなるべく避けたいものです。

(中略)

それぞれのライフスタイルが私の家では歓迎されます。

ご興味のある方のみ、上記のお願いを全て言及した上でリクエストをください。”

 

要するに、オッサンは家で全裸。

 

泊めてもらうからには全裸のオッサンを気にしないまたは自分も全裸バッチコイじゃなきゃ来るな。ということです。

 

ただ、このプロフィールと信頼のアツさとの温度差がすごい。

これを”やばい面白い。ここにしよう”と決めてしまうのがバックパッカーという生き物なんです。

 

早速メッセージを送ります。

 

”こんにちは、○日~○日まで、泊めていただけませんか?

プロフィール拝見しました。あなたの全裸生活は全然問題ありませんが、自分が脱ぐかは決めかねています。そんな状況でよければ泊めてください。

あなたのライフスタイルについてお話しできることをとても楽しみにしています。

タダ宿じゃない。とおっしゃってましたが、もし宿泊料が必要でしたら、いくらか教えてください”

 

すると、3時間後くらいに返信が

 

”メッセージありがとう。もちろん来てくれて構わないよ。

そして、ヌーディストは全ての方にあったスタイルではないことは理解しているよ。

つられて脱ぐバックパッカーはよくいるけれど、強制じゃないので安心してね。

メッセージの内容を完全に理解していただけた方には、料金はいただいていません。”

 

 

ということで、全裸のオッサンの自宅へのステイが決定しました。
最大8人まで収容するらしいのですが、ほかのゲストはいないようです。

 

フライト逃す事件で、朝着が夕方になってしまったのですが、ラッキーなことにオッサンの退勤時間と重なったため迎えにきてもらいます。

お迎えの際は、さすがにまだ服を着ている。

 

 

そしてご自宅へ。

 

 

今まで5年間、累計で400人以上をホストしてきたということで、
マットレスが5枚、毛布が10枚以上部屋のいたるところに散らばっています。

1日の最大記録は18人だそうです。その時はキッチンに寝袋を引かせたり大変だったとのこと。

 

 

そして、ドミトリーお馴染みの、”ノート”を個人で所有している人を初めて見ました。
旅人からのプレゼントだそうです。

 

紅茶を出してもらい、自己紹介と、早速旅の話。

 

まだオッサンは服を着ています。

そして、1時間くらい世間話をしたところで、

 

オッサンはシャワーへ。

シャワーから出て来たオッサンは、まだタオルを巻いています。

 

そして座り、マグカップの紅茶が空だと気づくと

立ち上がり、ケトルへ向かいます。

 

その際に、巻いたタオルがソファーに落ち、その後このオッサンはずっと全裸でした。

 

さぁ、ついに脱いだ。笑

…となったところで、自分の中で
”このオッサンがヌーディストになった理由とその魅力を聞き、論破されたら試してみよう”と決めていたので

早速オッサンに”出たヌーディスト!なんでそうなったんですか?”と聞くと

 

”2年前に泊めた、ドイツ人の兄ちゃんが朝起きたら全裸で皿を洗ってたんだ。

ちょっとひいたけど、ほっといていたんだよ。そしたら兄ちゃんがヌーディストでも大丈夫か。って。

その時は、???だったんだけどね。そのあと彼は数日間のステイの間に俺にヌーディストについて細かく教えてくれたんだ。ヌーディストビーチにも連れて行かれたよ。”

 

ふむふむ。
(以下、会話の要約。私からの質問は省略します)

 

まず初めに、裸が性的な物だと誰が決めたんだい?”って。

 

赤ちゃんはTVにでも裸やおむつ一枚で出るし、

6-7歳くらいまでは、男女関係なく小さい子は裸で走り回るし、それでどうこういう人も誰もいない訳さ。

周りの大人も何かいうわけでもなく見守っているだろう?”

 

 

”ただ、メディアや誰か影響力のある大人がアダルトな映像や印象を植え付けてしまったせいで、
いつの間にか、裸は性的なもの、恥ずかしいもの、いけないもの。というのがある程度の年齢になると途端に常識になる。そして法律にもなる”

 

 

”ただ一ついうと、それってさ、見る側がやましい目をだったり、そういう目を持つ影響や教育を受けてしまったせいでね、本来ここに何も意味が無いわけ。異性へのリスペクトはどこ?”

 

 

”それにね、ヌーディストでいると、その人がお金持ちだろうが貧乏だろうが、どんなファッションが好きかどんなブランドを持っているのか解らないの。身につけているものがないから。

そうすると、持ち物で人が判断できなくなる分、人間、話の内容やコミュニケーション、顔つきなんかでその人を判断するしかないのね。”

 

 

”世の中、ファッションはこうでなければ、とか、腹筋は割れていなければ、とか、ウェストは引き締まっていなければ…とかは全部幻想で、
誰かがそれを植え付けることで儲かるとか、そんな辺鄙な理由な訳よ。余計なものへの先入観がなくなる分、あなたと私の会話に集中できるわけ。”

 

 

”今の人たちは、世の中の大半の人のカラダは大したモンじゃない。そして、周りは思ったほど君のカラダに興味はないっていうのを知っておいて方がいい。
そうじゃないと、メディアや周りの人が植え付ける多大なコンプレックスや羞恥に負けてしまうから。

脱いでるのが綺麗なボディの持ち主ばかりだと、本来世の中の大多数は大したことないカラダなのに、自分がただ単にのその1人であることを忘れて、余計なコンプレックスを持って、余計なお金を使い、余計なプレッシャーを背負うことになる。”

 

 

”そろそろみんないい加減自分の体が今のままでパーフェクトだって気づいた方がいいし、いざ脱いでいろんな人と話すと、マジで大したことない。びっくりするくらい大したことない。

裸で人前で話す。相手も裸。っていうのを経験すると、今までどれだけ自分が余計なものを隠していたかにビビるくらい、何でもないって事実にぶっ壊されたんだよね。”

 

とのこと。

これはやってみなければ解らない境地だけれども
言っているとこには完全に納得。

 

ということで、今から脱ぎますー!はおかしいので
とりあえず数時間後にシャワーに行き、そのまま何も着ずに飛び出してみます。

 

オッサンは無反応。紅茶飲む?と聞いてくる。

ちなみにこのオッサン、お酒は飲まない人だそうな。

 

オッサン、全裸なのに靴だけ履いているのは笑った。
オッサン見ろよ、私は靴も脱いでいるぜ。

 

そして、そのままオッサンと2人全裸で紅茶を嗜みます。

 

普通にアフリカの政治の話とかします。

私も普通に東南アジアのおすすめ屋台メシの話とかします。

 

そして、しばらくすると、オッサンがベリーアイスいるかい?と聞くので
全裸でベリーアイスってシュールすぎて笑えるわ。とさすがに私から話題を振ってみました。

 

”HAHAHA。言ったろう大したことないって。

いやあ、初対面でこのライフスタイルを納得するだけでもすごいのに、さらに試してみよう。っていう君に感動したよ。

君みたいな旅人がうちに来てくれたことを誇りに思うよ。”

 

というと、甘ったるいベリーアイスにさらに蜂蜜をかけたものを差し出してくれました。

 

 

一つ屋根の下、オッサンと2人全裸でベリーアイス。

 

 

色々おかしいだろという先入観はまだあるものの、”びっくりするくらい大したことない”のは本当にその通りでした。

 

”400人以上泊めてると、ご近所さんとか家族からも、お前なんでそんな旅人に家を大開放してるんだ?ってよく言われるんだけどね。

世界中の旅人が、新しい衝撃を与えてくれて、次に来た人にその衝撃を持って帰ってもらって。それがどうしても楽しくってね。いつの間にかやめられなくなっちゃったんだよね。”

 

”常識とか、文化の違いとか、全くゼロで見るって絶対無理でさ。そんな中で自分を保つ領域と殻を破るさじ加減を一緒に話し合えるのが旅人と話す魅力だと思ってるんだ。面白いもんだよ。”

 

と、オッサンは笑いながら平らげたアイスの食器を片付けます。もちろん全裸+靴です。

 

 

安心感でも開放感でもない、あの”大したことない”っていう衝撃は

本当に上手く表せない不思議な感覚で、”あぁ。ほんとだ、色々どうでもいいんだ。”という謎の心からの納得。という今までに味わったとこのない感覚でした。

 

何より、相当たるんでいるぷよぷよのオッサンが、俺は美しい、俺のカラダはこれでパーフェクトなのだ。と自信を持って脱いでいることに若干スカッとした。という感じもありました。

 

 

もちろん、おしゃれな街に大満足だったけど
どこに行くか以上に、誰と会うかが旅よね。

来てよかったよWellington。

 

 

こうしてこのどこまでも優しくシュールなオッサンは、またひとつ高評価を獲得し

今日も世界のどこかからやってくるWellingtonの旅人に全裸で紅茶を出してソファーで何時間も語り合うのでしょう。

 

 

ありがとうオッサン。またどこかで会おう。

今度は私がベリーアイスご馳走するよ。全裸かは別としてね。

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