”大人5歳”の渡り鳥。世間話だけで英語と起業を学んだスノーボーダー社長

 

 

ニュージーランド、クイーンズタウン。

 

 

ここには、本当に様々なスタイルの旅人が集まる。

町をくまなく1周しても1時間もかからないこの小さな田舎で

スノーボードを担ぎ雪山を求めて彷徨う日本人の渡り鳥に出会いました。

 

 

彼は、日本でスノーボードのインストラクターをする25歳。

日本の夏になると、冬のニュージーランドに雪山を求めて3ヶ月ステイするのだとか。

 

 

3ヶ月日本でインストラクター
3ヶ月期間工やら治験やら
3ヶ月ニュージーランド
3ヶ月また期間工やら…

 

 

そんなライフスタイルを、2年。

学生の頃から雪山を求めてニュージーランドとの往復を繰り返していたので、
もう4年間渡り鳥生活じたいは続けているとのこと。

 

かなり長い間まともに夏は過ごしていないんだとか。

 

 

 

”学生時代、スノボをしに授業をほっぽり出して消息を消したせいで、
教授が卒業させてくれるかわからないヤバイ期間があったんです。”

そんな風に笑い話にしているけど、実はちゃんと国立大を出ている優等生。

 

 

”起業したんです。日本の雪質って世界のスノーボーダーにも有名で、インバウンドとかやったら需要あるんですよね。

ただまだ勉強中で。このスノボ旅でコネ作り&集客の勉強もやっているんですよ。面白い人ばっかりですよ

会社は今はまだ駆け出しで何もできてないんです。節税にはひと役買ってくれてますけれどね。”

 

 

なんで節税になるの?というと、全く知らない世の中のお金の動きを
とんでもなくわかりやすく説明してくれた。

スノボ事業。スノボインバウンドの会社を立ち上げたので、

このスノボ旅が全て経費扱いになるから、ほかの収入を得ながらなんとか自転車操業する
コスパの悪い会社の貧乏社長扱いになって税金がほとんど請求されないとのこと。

これもスノボ旅で日本人の経営者と出会い、”世間話”から独学したのだとか。
そんな短い説明からすでに、賢さが溢れ出している。

 

”まぁ、就活して内定もらってそれ蹴ってこんなことやっちゃったんです。
なんかまともなレールに乗れなかったからスノボに逃げたって思われたくなくて。

まぁ結果こうなることに変わりはなかったんですけどね。この生活が楽しすぎちゃって。天気が許せば毎日休みなくスノボっす。”

 

 

そんな彼は、この3ヶ月は大雪で視界不能にならない限りは毎日雪山。

今日たまたま大雨で会えたのは、偶然。そして、ラッキー。

 

 

”金ないと、雪山への移動とかヒッチハイクなんですよ。

そうすると強制的に英語の勉強にもなるんで、帰る頃にはリスニング能力がむちゃくちゃ上がるんです。
人にも会えてメリットしかないっすよ。正直めんどくさいんですけどね。

 

でもそのめんどくさいことが強制的であってくれたほうがいまは助かるというか…

お金ってあると便利だけど、面倒なことしなくて済んじゃうんで、25歳ならまだ貧乏の方が幸せかな。って”

 

 

そんな彼は、ゲレンデと町の往復は毎日ヒッチハイク。

そこの30分をリスニング&スピーキングの時間にしているので、語学学校も必要ないのだとか。

そしてスノボにとんでもなく詳しいので、雪山に向かう世界中のボーダーたちに日本のスノボ事情を教えて、

そこから増えたコネクションから、インバウンドや起業、そしてニュージーランドへの渡り鳥生活のあれこれを吸収しているとのこと。
会社の設立、登記、Webサイト制作まで世間話から独学なんだとか。

 

起業も、移動生活も、ニュージーランド生活も全て人から拾い集めた。
先生は、今日ドミであうかもしれないし、ヒッチハイクであうかもしれない。

それを逃さないように、毎日誰かしらに話しかけて、何かしら聞くのがポリシーなんだとか。

今までやってきたほとんどのことは、こうやって学んできたとのこと。

 

 

ニュージーランドでスノーボードのインストラクターの資格を取れば、

ニュージーランドでもインストラクターとして毎年3ヶ月働けるから、それを目指して”みんなとの世間話”から英語も勉強中らしい。

インストラクターの資格、テストの英語が相当難関なんです。

と、今まで”逃げてきた”お勉強の話をイヤそうな顔で話し出す。

 

 

だから、ドミに住み、ヒッチハイクを続ける。先生はそこにいるから。
彼にとっては、寝るところも移動手段も学びの場。

英語が苦手なのに、どうやってそんなにいろんな人とオープンに話せるの?と聞くと、
”やっぱ酒っす”とニコッと笑って開けたバッグの中からビールがいっぱい出てくる。

 

これをシェアして、今日の先生を探す。ドミではいつもこうやって人に会っているんだとか。

たまにこれはすごい!という大当たりの人に会えるのが、シェアハウスより少し高くて不便でもドミトリーに住む魅力。

 

 

今のお悩みは、フリーターの3ヶ月をどうスノボで生きることに切り替えてゆくか。だそうな。

現在は起業してみたけど、ほかにも手段があれば片っ端から実験してみるとのこと。

 

日本のみんなが”うるさい”から、ワーホリビザも使い切ってしまった今どうやってこの2カ国でのんびり生きるか模索中らしい。

 

 

”まだ25歳なんで。っていうともう25歳だろう。って言われるんすけど

18歳までは右も左も分からないまま親の言うことだけ聞いて、まあその2年後に成人して大人になったのが5年前じゃないですか。

俺、まだ大人5歳なんです。そんなんで人生決めろって無理じゃないっすか?

みんなすげーと思うんです。22歳で就職するとか、大人になってまだ2歳ですよ?
言葉喋り初めたくらいで一生決めるってヤバくないっすか?何が解るんだって話っすよ。

 

これからを決めるのなんて、大人20歳、要するに40歳くらいでも遅くないと思うんです。
なのに日本のみんながいろいろ言ってくるんで今それがしんどいんです。

ニュージーランドのお互い何も言わないこの環境が本当に好きで好きで。”

 

 

自分のポリシーにまっすぐ生きる彼の”好きなこと”の話は、説明なんていらないくらい好きなのが伝わってきた。

 

 

”このスノボ生活が体力の限界になるまでやるのはいいとして、今の3ヶ月フリーターなんとかしたいんで、

ここもスノボに関することで生きていけるようインバウンドめっちゃ頑張ります!”

 

 

 

そんな話をした翌日、天気も良くなったところで、彼はまた雪山に飛び立って行った。

先生に会うために今日もヒッチハイク。バスの定期券なんて、もちろん持っていない。

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